事務処理の効率化する際には、事務作業を根本から見直す視点が必要です。
特に、他者から引き継いだ事務作業は意外に無駄が多かったり、作業の必然性がよくわからず行われている場合が多くあります。
当たり前のようにやっている作業でも、実は必要がない、あるいは頻度を減らしても構わない作業があるかもしれません。
業務の分析が事務処理効率化につながる
とはいえ、「意識して作業を見直せ」と言われても、自分で無駄に気づくのは難しいのが現状です。
ルーチン作業は体に染みついており、ただ意識するだけではなかなか業務の効率化につながりません。
そんな時は、「ツールやシステムで自動化できる業務はないか?」と考えると、無駄な作業や自動化が可能な作業に気づくことができます。
簡素な業務、定型業務など、手作業でなくてもこなせる業務がないか検討してみましょう。試験的であっても1つの業務に対してツールを導入すると、その他の業務の無駄にも目が行くようになります。
近年、ツール導入で事務処理を効率化し、コスト削減に乗り出す企業が増えてきています。
主に使われているのはRPAと呼ばれるもので、データ抽出や分類、反映、リサーチなどをルールにのっとってソフトウェアが代行してくれるというものです。
RPAは24時間、ルールに則って定型業務を代行してくれます。ただし、少しでも人の判断が入るような業務は代行できません。
事務処理の中でルーチン業務が占める割合は思った以上に大きいので、あなたの企業でもRPAが活躍する機会は十分にあるでしょう。
会社の中には、コアな業務以外に多数の手順を要する事務処理がたくさん存在します。特に、データの集計・分類にエクセルを利用する企業が多いと思いますが、ここも効率化のポイントです。
「xoBlos(ゾブロス)」はエクセル業務の効率化に特化しています。
複数のデータの集計・分類の簡易化、クラウド上での情報共有、エクセルのマクロ機能に併用して使用が可能と、従来のエクセルの感覚で大量データの集計が可能な非常に優れたツールです。
導入した会社の成功例として、「作業工程の7割削減」「7.5時間の業務を1.5時間に短縮」などの事例が報告されています。
株式会社アコーディアゴルフはxoBlos導入前、ゴルフ場や、それに付随するホテル・リゾート施設から送られてくる膨大で多彩なフォーマットのエクセルデータの集計作業に追われていました。
そんな中、エクセル業務の効率化ツールであるxoBlosに出会い、エクセルの30倍のデータ処理速度や、コスト面、自由度が利くといった点に注目。
導入1年目で年間20000時間の工数を減らすことに成功しています。
参照元:株式会社アコーディア・ゴルフ様|xoBlos公式
(https://www.xoblos.com/xoblos/wp-content/uploads/2019/01/CaseStudies_AccordiaGolf.pdf)
社内で複数の事業部、システムを運用する丸善雄松堂株式会社。「システム間のスムーズなデータ連携」および「エンドユーザーに対する安定したデータサービスの提供」という2つの課題を解決できるツールとしてxoBlosを採用。
結果、xoBlosの強力なデータ連携機能と、直感的な操作が可能な使いやすさが功を奏し、抱えていた2つの課題を見事にクリア。
開発工数は半分ほどになり、xoBlosの対象業務を拡大しつつあります。
参照元:丸善雄松堂株式会社様|xoBlos公式
(https://www.xoblos.com/xoblos/wp-content/uploads/2019/03/CaseStudies_yushodo-maruzen.pdf)
Kintoneは今まで別々に管理していた情報やタスクをアプリに集約し、共有できるツールです。職種や部門、立場に限らず、様々な項目に分けてアプリを追加でき、情報をすっきりと管理できます。
Kintoneの導入により、総務事務の稼働時間を月に400時間減らすことに成功した事例もあります。
朝日新聞では電子書籍の販売の拡大に伴い、売上集計にかかる時間と手間も増大。エクセルによる管理は煩雑を極めていました。
そこで、Kintoneクラウドパートナーのコンサルティングのもと、売上にかかる消費税や支払い手数料、自動計算フィールドなどを調整し、売上データの統一化が可能なアプリを開発。
結果、ばらばらだったデータの集計作業工程のなんと9割を削減することに成功しました。
参照元:朝日新聞社様の導入事例|Kintone公式
(https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/asahishinbun.html)
創業145年、直営店28店舗を抱える木村屋總本店では、無駄の多いルーチン業務をなくそうとKintoneを導入しました。
担当者にしかわからないものもふくむ80もの帳票を、「発注」「実績」「出退勤」「時間帯別情報」の4つのアプリに集約。
28店舗にiPadを配布し、操作を説明したところ、比較的スムーズな導入に成功。PCに向かう時間や電話を介した無駄の多いコミュニケーションが削減され、空いた時間を接客に回せるようになったとのことです。
参照元:木村屋總本店様の導入事例|Kintone公式
(https://kintone-sol.cybozu.co.jp/cases/kimuraya.html>
様々なメモ機能を使うことができる「Evernote」は、「最高のメモツール」と称される作業効率化ツールです。どこでも簡単にノートを作成してメモを付けることができますし、メモはクラウドを通じて誰とでも共有することができます。
Webページ、ToDoリスト、会議の議事録、etc…。どのような情報でもEvernoteに記録していくことができます。テキストデータはもちろん、画像や録音データも記録可能です。画像上の文字も、テキストデータとして認識してくれます。
あらゆるメモを簡単に保存することができます。気になった情報は、webページでも写真でも便利に保存!スマート端末との親和性も高いため、この点でも便利ですね。
移動先ですぐに要件や名刺のチェックができるので、重宝しています。名刺アプリとも共有できるため、管理がスムーズになりました。
情報量が増えてしまうと、ごちゃごちゃとしがちなデザインなので、メモごとに色分けできるよう改善してもらえれば、もっと良いですね。
参照元:ITreview
(https://www.itreview.jp/products/evernote/reviews)
「Mcrosoft」が提供していることで有名な、業務効率化ツール「Microsoft Teams」。チャット機能を中心に、多人数でのビデオ通話やファイルの管理といった様々な機能が、まさにオールインワンで揃っています。
ファイルのやりとりや通話は、さすが「Mcrosoft」提供のツールとだけあって、セキュリティ面でも安心できる仕様です。
リモートワークで事務作業を担当しているスタッフとの情報共有はもちろん、業務効率化ツールのビギナーは、最初のツールとして、ひとまず導入してみることをお勧めします。
web会議の実施はもちろん、それ以外にも掲示板やチャットなどの一連の機能が揃っているため、様々なコミュニケーションをサポートしてくれます。web会議は予定表をクリックするだけでできるため、とても便利。
直感的に操作がわからないときがありますが、細かい設定などで戸惑うことはほとんどありません。予定表と一緒になっているので、スケジュール管理とあわせて使うことができます。
参照元:ITreview
(https://www.itreview.jp/products/microsoft-teams/reviews)
「chatwork株式会社」が提供する「chatwork」は、業務効率化ツールの代表格と言っても過言ではありません。
主な使用シーンは、その名にもある通り、ビジネスシーンにおけるチャットツールですが、社外だけではなく、社内のスタッフ間でのコミュニケーションツールとしても利用することができます。
また「chatwork」は、「Gmail」や「Googleカレンダー」といった仕様頻度が高い外部ツールとも連携することができるため、単体で仕様することはもちろん、複数のツールをまとめる効率化ツールとしても使い勝手が良いです。
無料のプランで登録してもユーザー数に制限がありませんから、社内のスタッフが多い場合でもコストがかかりません。ストレージの容量も5GBと余裕があります。
社内で導入したところ、社内のコミュニケーションがスピードアップしました。グループ設定すれば、必要なメンバーに限って連絡を取り合えます。
これまで、メールの形式を揃えるために不要な業務を行っていましたが、チャットになったことで時間も短縮されました。
またグループでは、新たに加わったメンバーでも過去のチャット内容を見ることができるので、情報共有も簡単です。
参照元:ITreview
(https://www.itreview.jp/products/chatwork/reviews)
事務作業の効率化で最も大事な考え方は、「思い切って疑い、新しい方法を実行すること」です。「そもそも、この作業は必要なのだろうか?」「同じ作業を、もっと効率的に行う進め方や、短い時間でできるツールはないだろうか?」といったように同じ仕事を繰り返していても、常に疑い、作業の削減や新しいツールの活用を思い切って実行することで、事務作業の効率化ははじまります。
ルーティンとなった事務作業を単にこなしているだけでは、自分が無駄な作業をしていることに気づけないことはおろか、新しく開発されたツールなどの恩恵を受けることもできません。そうなれば、「いつのまにか自分のやり方は、業界や社内で時代遅れになっていた…」と知ったとき、ガックリと肩を落としてしまうことになるでしょう。
事務作業を効率化できれば、削減できた時間を他の作業にまわすことができますし、作業のクオリティも高まります。「自分の仕事をもっとよくしたい」と考えられているのであれば、小さな改革からでもよいので、ぜひとも実行に移してみましょう。
考え方がわかったら、次は具体的なテクニックです。
ツールの使用はもちろんですが、いずれも事務作業を効率的に行っている人であれば、実践しているテクニックばかりなので、ぜひ参考にしてみてください。
整理整頓を徹底する
事務作業が早い人の共通点は、いくつかあります。そのひとつが整理整頓の徹底です。身の回りが整頓されている、というだけなく、PCのフォルダ分けやデータのタイトルなども情報の整理ができているため、必要な情報をすぐに取り出すことができるようになっています。これは、「あのデータはどこに入れたかな?」と失念してしまい、その度にデータを探す、といった時間をとられないため、無駄な時間を取られることがありません。
日頃から書類やデータは整理できるよう、癖づけましょう。
作業の段取りがうまい
作業を効率的に進めることができる人は、タスク管理や段取りもきちんと確立されています。つねに「次は何を、どのようにすべきか」ということがわかっていますし、後々の作業を考えたやり方で仕事を進めていくことができるのです。
これは、作業のスピード感にも影響してきます。段取りがしっかりと見えている人は、仕事の終わりも見えていますから、高い達成意識を持って作業に取り組むことができるのです。
また、個人はもちろん、チーム全体でもタスク管理が共有できるツールもたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください。
類似の作業はまとめて行う
膨大な入力作業やメールのやりとりでは、類似している業務ごとにまとめて行いましょう。例えば、アポ入れのメールであれば、1件1件文面を考え直すのではなく、送信先のアドレスや宛名だけを変更できる文面にしておき、あわせて送信するのです。そうすることで、時間の効率化はもちろん、作業のミスも防ぐことができます。
反対に、何か別な作業に手を出したり、その合間にメールを送ったり、といったぐあいに仕事をしてしまうと、その度に送信先を確認したり、Excelのデータを探したり、といったタイムロスが発生してしまいます。事務作業を効率的に行うことができる人は、作業の順番はもちろん、その内容ごとにタスクを実行しています。
業務のコスト感覚がある
仕事の生産性が高い人は、コスト感覚を持って業務を行っています。経営者や自営業の人なら、仕入れや売値の決定など、つねにコストをクリアさせながら仕事をしていますが、こういった考え方は、事務作業においても変わりません。
企業内で事務作業をおこなっている総務や経理といったポジションは、「生産性が低い」とも言われています。それは、ひとつひとつの業務に対して、コストの数値化や可視化が難しいからです。しかしこれは、反対に言うと、数値にできない、見えない無駄もたくさんしている可能性がある、ということです。
事務作業を行うにあたっても人件費が必要ですし、それを時間で図るならば、業務の無駄による「損害」は大きなものになります。企業全体で利益をあげても、事務作業の効率化にコスト意識がなければ、無駄=赤字を垂れ流しているようなものです。事務作業にもコストがかかっていることを認識して、つねに改善する=売り上げを上げるように改革していきましょう。
ツール導入による効率化が注目されていますが、流行に乗ろうとしてすべてを自動化すると、逆に社内に混乱をきたします。
事務処理はルーチン業務が多いため、ツールによる効率化を試験的に図るにはもってこいの業務です。自動化できそうな対象業務を洗い出し、1つずつツール導入による成果を挙げていくことで、企業全体の理解も得やすいでしょう。